皆さんは、胡蝶蘭を贈った経験はありますか。
百貨店にお勤めの方や、ご自身のお店をオープンした際にお祝いでいただいた経験のある方なら、その華やかさに思わず目を奪われたことがあるかもしれません。
実は私自身、かつて百貨店に勤務していたとき、新店オープンの贈答用胡蝶蘭を大量発注する仕事を任されました。
最初は「高級花だけど、まあ特別なときに贈るものだよね」程度の感覚でしたが、その繊細さ・美しさとともに、そこにまつわるマナーや言葉遣いの奥深さに触れ、思わず夢中になってしまったんです。
その後はフラワーショップでアシスタント兼スタッフライターを経験し、現在はフリーで贈答用花に関する記事を執筆しています。
特に胡蝶蘭は「縁起がいい」「長持ちして華やか」といったイメージが強く、個人的にも大好きな花。
だけど実は、贈る際の言葉一つで、相手に余計な心配を与えてしまうことがあるんです。
そこで本記事では、胡蝶蘭を贈るときに使ってはいけない言葉=「NGワード」と、その背景にあるマナーについてご紹介します。
ちょっとした言い回しを変えるだけで「この人、心づかいが行き届いているな」と思ってもらえるかもしれません。
私の失敗談や、実際にいただいたご相談事例なんかも交えながらまとめましたので、ぜひ最後までお付き合いください。
胡蝶蘭の贈答が特別視される理由
ビジネスから冠婚葬祭まで:幅広いシーンで選ばれる魅力
胡蝶蘭が「高級花」と呼ばれる理由を考えたことはありますか。
花びらの形状が蝶々が舞うように優雅で、見栄えも抜群。
そのためビジネスシーンでは、新店オープンや開業祝いなどの「これからスタート!」というタイミングで重宝されてきました。
結婚式の装花としても人気が高く、おめでたい席にふさわしい華やかさを演出してくれます。
さらに冠婚葬祭と幅広い場面に対応できるのも大きな魅力です。
白色の胡蝶蘭であれば弔事でも失礼にならず、控えめながら品のある印象を与えられます。
こうした汎用性の高さと存在感が、胡蝶蘭を「何か特別な花」として人々に認識させている要因といえそうです。
贈答文化と花のしきたり:知っておきたい日本ならではのマナー
日本には昔から「門出を祝うときには花を贈る」というしきたりがあります。
特にビジネスの世界では新店舗オープンの際、店頭やエントランスに見事な胡蝶蘭がずらりと並ぶ光景を目にしたことはありませんか。
あれは「お祝いに駆けつけられないからこそ、花で気持ちを伝える」という習慣が根づいているからでもあります。
フラワーショップでアシスタントをしていた頃、お客様から「どのタイミングで贈ればいいの?」という相談をたびたび受けました。
例えば開業祝いや会社の創立記念日など、日付が決まっている行事に合わせて、前日か当日に届くよう手配することが一般的です。
これも「当事者がバタバタしているタイミングで失礼のないように」という日本ならではの気づかいなんですね。
胡蝶蘭の贈答で避けたいNGワードとその理由
知らずに使ってしまうかも?気をつけたい言い回し
さて、本題のNGワードです。
いくら胡蝶蘭が素敵でも、「言葉選び」を誤ってしまうと、せっかくの贈り物が台無しになってしまうことがあります。
- 「枯れる」「しおれる」
これは明らかにマイナスイメージですよね。
「長く楽しんでもらいたい」と思って贈るはずが、“この先すぐに枯れるんじゃないか”と連想させてしまう表現は避けたほうが無難です。 - 「終わり」「別れ」
たとえ深い意味がなかったとしても、特に冠婚葬祭やお祝い事では使いづらい表現です。
「区切りがつく」「終いにする」なども含め、相手に不安を与える可能性があります。
日常会話では何気なく使ってしまう言葉ほど、贈答シーンでは要注意です。
私も「お祝い終わったらお水控えてね」なんて言いかけたことがあり、あわてて言い直した経験があります。
なぜNG?相手の印象を左右する言葉の影響
言葉は音として耳に残るだけでなく、イメージとして頭に浮かびます。
だからこそ、負のイメージを連想させる単語は受け取る側に「縁起が悪いのでは?」と心配を与えてしまうんですね。
フラワーショップに勤めていた頃、一度だけクレームに近いお問合せを受けたことがあります。
贈り主の方が「長持ちするけど、いずれ枯れるからね」と笑い話のつもりで言ってしまい、受取人が「こんなときに“枯れる”なんて…」とショックを受けたとのこと。
冗談交じりで言ったのだとしても、改まったお祝い場面では誤解を招きやすいのです。
代わりに使いたいポジティブフレーズ
「それなら何と言えばいいの?」という疑問も湧きますよね。
ここがポイント!
言い回しを少し変えるだけで、同じ事柄をもっと前向きに伝えられます。
- 「長く咲き続けますよ」
→ 枯れることを暗示するのではなく、“元気に咲く期間が長い”というポジティブ表現。 - 「いつまでも華やかに楽しめますね」
→ 祝福感を含むため、相手にも「嬉しい贈り物」という印象を与えやすいです。
ちょっとしたコツですが、できるだけ「明るさ」や「祝福感」が伝わる言葉を選ぶよう意識するといいですよ。
私自身、取材先で知り合ったフローリストの先輩から「プラスのイメージを伝えるフレーズを常に用意しておくと、接客がスムーズになるよ」と教わりました。
胡蝶蘭贈答時に押さえたいマナーと心づかい
色や本数の選び方:失礼にならないための基本知識
贈る際の言葉づかいも大事ですが、実は色や本数の選び方もマナーの一つです。
ビジネス用なら無難に「白」を選ぶ方が多いですが、もう少し柔らかい印象にしたい場合は淡いピンクも人気。
ただし、あまりに派手すぎると「祝いの席には合わない」と考える方もいるため、色選びに迷ったらショップのスタッフさんに相談するのが確実です。
お祝い事では「3本立て」がオーソドックス。
一方で弔事は本数よりも色を白で統一するなど、場に応じた落ち着きが必要になります。
特に4本立てを敬遠する方もいらっしゃるので、地方や相手の慣習に合わせるようにしましょう。
のし・ラッピング・メッセージカードの上手な扱い方
次は、外見の仕上げともいえる「のし」や「ラッピング」の部分です。
例えば新店オープン祝いなら「御祝」や「祝開店」など、表書きに迷わない定番ワードがあります。
弔事の場合は仏事用の熨斗ではなく「短冊」や「御供(おくやみ)」という表記を用いるケースもあるので要注意。
ラッピングは、せっかくの気品ある胡蝶蘭を隠しすぎないことがポイント。
透明なセロファンでシンプルに包む方法が一般的ですが、近年は半透明の紙や柔らかな布を使うアレンジも増えています。
豪華に見える一方で、せっかくの花が見えづらくなると本末転倒。
特に贈り先が限られたスペースしかない場合は、コンパクトに持ち運べる形も検討してあげると喜ばれます。
メッセージカードは、言葉の選び方を工夫する絶好のチャンス。
先ほどご紹介したように「末永く咲き続けますように」など、前向きな言葉をサラリと添えるだけで、相手の心に温かさが伝わります。
長く楽しんでもらうためのお手入れアドバイス
いざ受け取った相手が「お世話に不安を感じてしまう」ことを避けるためにも、サポートメッセージを添えると効果的。
たとえば「ちょっとしたコツですが…」という前置きとともに、以下の要点をカードにまとめるのがおすすめです。
- 室内の明るい場所で、直射日光はできるだけ避ける
- 水は週に1回程度、根元が乾いてからたっぷり与える
- エアコンの風が直接当たらないように置く
これなら「私も育てられそう!」と感じてもらいやすいですよね。
もし余裕があれば、管理グッズを添えるのもGOOD。
例えば水やりのタイミングを記録できる小さなメモや、受け皿に敷く保湿シートなど、地味ですが重宝されるアイテムです。
ちょっとした参考として、人気のカラーや本数の目安をまとめた簡易表もご覧ください。
華やかさと落ち着きをバランスよく選ぶヒントになるはずです。
目的 | おすすめカラー | 本数の目安 | 備考 |
---|---|---|---|
新店オープン祝い | 白・淡いピンク | 3本立て以上 | 豪華さを演出したいなら5本立ても |
結婚式の装花 | 白・ピンク | 会場の規模に応じて可変 | 花嫁のドレスカラーに合わせるのも素敵 |
弔事(お悔やみ花) | 白のみ | 本数よりも大きさ重視 | 地域の風習を事前確認 |
まとめ
贈答文化に深く根づく胡蝶蘭だからこそ、言葉選びやマナーへの意識が重要になります。
「枯れる」「終わる」などのNGワードは相手の気持ちを萎えさせる恐れがありますが、その代わりに「咲き続ける」「いつまでも華やかに」など前向きなフレーズを使うことで、受け取る側の心にパッと明るい印象を与えることができます。
私も最初のころは、つい日常的に使っていた表現をお客様の前でポロリと言ってしまい、ヒヤッとしたことがありました。
でもそこから学んだのは「失敗も大事な経験」。
相手を想う気持ちが伝われば、多少の言葉の行き違いも十分取り戻せるんだと感じています。
ちょっとした配慮で「ひと味違う贈り物」になるのが、胡蝶蘭の面白いところです。
ぜひ皆さんも、NGワードを避けつつマナーを押さえて、より素敵な贈答体験をしてみてくださいね。
最後までお読みくださりありがとうございます。
皆さんの贈りたい気持ちが、胡蝶蘭を通して相手にしっかり届きますように。